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強い女性という幻想

二時間ドラマ(日本のものに限定する)の主人公によくあるような、危険を顧みずに殺人犯に口論を挑むような「強い女性」の象徴的存在が好きではない。あれは勇敢であるとか強いとかいうものではなくて、無謀だとか他人の迷惑を考えないとかそういった類のものであるし、競争原理社会で場合によっては他人を攻撃するほど強い主張をしなければ残っていかれないような国ではない日本で、あそこまで(特徴として、という意味でもあるし、そのようなドラマで主役になる年齢層まで、という意味でもある)我の強い女性が周囲から疎まれることなく社会生活を営みつづけていられるとは考えにくい。

というようなことをドラマの結末において人気ひとけのない崖で犯人に殺されかかる典型的クライマックスのあの胃のムカつくようなステレオタイプな主張(脇役が体を張って殺人犯を引き止めているのに「あなたを置いていけない!」と散々躊躇しながら結局逃げるような頭の悪さ!)を眺めていて思ったのだけれど、日本の女性の強さはどちらかというと打たれ強さにあるのかなぁと思ったり思わなかったりした。

話は変わるけれど、"Thir13en(Thirteen) Ghosts" を観ていて「ホラーの肝のひとつは登場人物の不条理身勝手納得のいかない価値観優先順位あるいはどんくささにやきもきすることであるだろうけれど、実際あのベビーシッターあるいは弟のような人物が身の回りにいたらそれはもう空気に接するように関わるか思いっきり殴るかどっちかだろうなぁ」としみじみ思ったりした。これもまたアメリカンホラーの醍醐味であるとか何だとか。

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