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徒然に阿鼻叫喚

帰りの電車でうとうとしていたら、中学生くらいのとても中学生とは思えない恰幅と眼鏡とダミ声の持ち主が隣の席の友人らしき人物に語りかけているのが聞こえた。彼が友人と思っていてもその隣の席の彼はそう思っていないかも知れないし、実際彼の語りかけは叫びに近く聞くに堪えないものだったのだけれど。

「なになにみたいな感じってさぁ、ただ二回言ってるだけじゃん。感じって、みたいな、ってことでしょ。なになにみたいなみたいな、って言ってるじゃん。何言ってんのお前」

「何言ってんの」とはまさしく彼自身が自ら問われるべき言葉であるように感じられたのだけれど、彼らの日頃の関係というものに全く興味を感じなかったので物凄い勢いで眠りに落ちた。同様に彼の語りかけというか叫びにも全く興味を感じないことの証拠でもあるのだけれど。彼の将来が順当に絶望で埋め尽くされたらいいと思います。

そういえばその彼のファッキンなダミ声というか最早ダメ声というレベルの毒を有すると言っても過言ではないその声が耳に入ってから、どうも下腹部の調子が悪い。彼のファッキンなダミ声というか最早ダメ声というレベルの毒を有すると言っても過言ではないその声が何らかの害を及ぼしていると考えるのが至極当然であることのように思われる。今すぐ阿鼻叫喚の無間地獄に落ちたらいいと思う。

そういえば小学三年生くらいの時分、どこぞのテレビ局の偉いさんがやってきて講話を行ったことがあった。全校生徒が体育館に集められて有意義と対極的な位置づけの話を聞かされたのだけれど、最後にその偉いさんはホワイトボードにいくつかの四字熟語を書いて「これが読めたらニュースキャスターにしてやる」と幼い女子生徒に向け明らかに卑猥な視線を送ったりしたものだったけれど、残念ながら彼の思惑通りその四字熟語を読もうという輩は名乗り出なかった。実を言うと当時モーリス・ルブランから西遊記まで読み漁った文学少年的存在であった僕には読めたのだけれど、壇上に上がって自慢げに「阿鼻叫喚」とか「四面楚歌」とか人前で発言するほどの厚顔さは残念ながら僕にはなかった。もっともニュースキャスターなどという職業にはこれっぽっちも魅力を感じていなかったので、その偉いさんが小学生相手に得意げな顔をするのをただ哀れみに似た感情でもって見つめることが選択し得る唯一の時間の潰し方だった、ということもまた事実であるのだけれど。

「阿鼻叫喚」という言葉からくだらないことを思い出してしまった。ともかく、下腹部が痛い。ダミ声で喚き散らすお子様は地下鉄に乗れない法律を作るといいと思います。作れ。

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