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IE はすっぴんの刑に処すべきか

長くなりそうなので結論を一番最初に書いておきますと、どうでもいいし好きにやってください、というのが率直な意見で。

Re: IE 窓から投げ捨て週間

IEに対して妥協を入れているWebサイトの作者は本当にIEを駄目だと考えているのでしょうか?

世間様一般では全然IEが駄目だなんて認識は無いわけで(あればあんなシェアな訳はないです)、 その原因がなんだろうと考えた時、IEでも思惑通りに表示させるCSS利用者(個人)の愚行がそこにはあるわけです。

IE がダメだと認識することと、IE がダメだと認識してそれを上手く吸収するために CSS に工夫を凝らすことと、全く違う次元の話だというのはおわかりいただけるでしょうか。

ご存知のことかとは思いますが、ブラウザ市場では IE は九割を超えるシェアを誇っている、と言われています。これはもちろん、OS 市場最大手である Windows に標準でバンドルされているインターネットブラウザが IE であるから、ですが。

インターネットを初めて利用する方を、新生児に例えるとしましょう。OS は国籍です。ブラウザは差し詰め、生活習慣や宗教などの文化だといえるでしょう。宗教や文化は、長い人生の中で選択し改宗することが可能です。より良い教えに従うも良し、新たに自分で宗教を興すこともあるでしょう。けれど、生まれたばかりの子供に宗教という概念がわかるでしょうか?生まれたときから続けている習慣(週に一度のミサや、日に数度の礼拝)に疑問を持つきっかけが訪れるまで無心にそれを信じて続ける彼らに、何か落ち度はあるのでしょうか?後々に自分が信じていた宗教を振り返ることもあるでしょう。誰かとの出会いが信仰を変えることもあるでしょう。けれどそのきっかけに巡り合うまでに、自分が思いも及ばない宗教上の理由から迫害されたとしたら?ある日訪れたサイトが、自分の概念を越えた領域で自分を拒絶したら?
あまり良い例えではないですが。最大手に機能的な欠陥があるからという理由で、何も知らず一番広い入り口から入ってくる無知な(未知の状態である)ユーザーを無下に扱うことが正しいことだと思われますか?あまりに原理主義的なその発想には同意しかねます。

またその最大手への対応を必死で行う方たちの努力をCSS利用者(個人)の愚行呼ばわりする権利が中野さんにはあるのですか?どのような動機に基づいてであれ(結果的に)あなたは IE の誤った解釈への対応を放棄して、悪いのは無知なユーザーだなんて立ち位置にいるわけです。選択肢があることすら知らされない、また知っていても諸事情により乗り換えられない人もいるはずです。

という、真っ向からの否定的な意見でひとつエントリーを書いてしまうわけですが、結論は最初に述べた通りです。どうでもいいし好きにやってください。「すっぴん」が一番良策であり、そうすべきだと考えるのも中野さんの自由ですし、それによって多くの IE ブラウザ利用者から見放されたとしても、それは自己責任というやつでしょう。

運動したい人はどうぞ勝手にしてもらつて構はないが、あらゆる「運動」がなりふり構はず醜悪なものになつたり、或は手段と目的を取り違へる人を多く生み出したことは念頭におくべきだ。

ただ、今後中野さんに教えを請う CSS 入門者がいたとして、「IE はダメだから問答無用ですっぴんにしなさい」などと教える愚行を犯したりはしませんように。

13:07 追記
別に取り立てて IE を敵視しなくても、仕様に準拠した文書を書いていればやがて間違ったものは淘汰されるはずなわけで云々。AD さんの日記 で適切な意見が述べられているのでそれを参考にすると良いと思います。ただ、私は IE の解釈との折り合いを付ける方法を少なからず知っていて、加えて私のサイトの訪問者の九割強は IE 利用者なので、然るべき対策を取っています。日本のラーメン屋だって、中国国籍のお客さんが増えたら先細りでない箸を用意するでしょう?(完全に憶測ですが)

Comments

ジュン
  • 2004-05-08T14:28+09:00

中野さんは、もじらに深く関わっている人だから、どうしてももじら寄りな意見ですよね。僕も同じ立場なら同じことを言うかもしれないし。そして既に、中野さんのサイトはすでに IE で見れないので、僕は前から見てなかったんですけどね。

>長くなりそうなので結論を一番最初に書いておきますと、どうでもいいし好きにやってください

激しく同意。

イソムラ
  • 2004-05-08T16:36+09:00

愛情故の過激な発言っていうのもわからなくはないですが、そういう立場にいる人だからこそ冷静でいなければならないこともあるかと思います。見方によっては「ネスケだって排除されたんだ、IE だけ特別扱いするなよ」なんてマイノリティの妬みにしか取れないじゃないか、なんて解釈もされうるわけで。

どんなダメなブラウザに対しても中立的に、包括的に。最終的にはやっぱり愛とかそういうのですよ。今思い付いただけですけど。

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