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握手の写真と中絶

週刊少年マガジンに連載されてる医師が主人公のドタバタコメディ(ゴッドハンドとかそんなタイトル)に、院長(多分)が胎児の手術して赤ん坊と握手する、というよくわからない多分感動的なシーンがあったような気がするのだけれど、元ネタを見つけた(軽グロ写真につき要注意)。

中絶

脊椎披裂(spina bifida)治療のために外科医は子宮を体外に出して羊水を取り除き、二十一週の胎児に手術を施してから、子宮を元に戻しました。そのときに起こった出来事です。赤ちゃんはまるで治療してくれた外科医と握手しているみたいだということで世界的に感動を呼んだ写真です。これを見た後でも中絶する権利を要求するなど、もう人間ではないと主張しています。以上が大略です。ある匿名の方が全文を訳してくださいました。

で、その後に訳文があるのだけれど。

中絶

あなたが見ている上の写真は大きな感動を呼び起こすに違いありません。

女性に中絶の権利があると主張する人々は、これでもサミュエルが何の感覚もない組織の小さなかたまりに過ぎないと人々に信じ込ませることができるでしょうか? とんでもない! 中絶クリニックは、生まれてこようとする赤ん坊を今まさに殺そうとしている女性たちに、二度とそんな嘘をつくことはできないはずです。

なんていうか、確かにそういう風に見えることは見えるし、なんだけど、いかにもアメリカンな飛躍の仕方だなぁとしか。画質によるのかも知れないけれど、少なくともこの写真を一目見ただけで人間だとわかる人は大多数ではないだろうし、事情を説明されずにこの写真を見ただけでそんなに感動する人はいるんだろうか。堕胎の現場に見えなくもないですよ。

中絶が良いことだとは思わないし、胎児にだって生きる権利みたいなものはあるかも知れないけれど、出来ちゃったらともかく産むべきだってのもどうかと思う(だからこそ予防っていうか、まぁ家族計画が重要なんだろうけど)。産まれてくることがその胎児にとって幸せだとは限らないし、不幸になるとしか考えられない状況もあるし、親だってどうしようもない状況になることだってあるだろうに。あるいは「出来ちゃった」という親がやり直しのきかない人生を決定されることも極力避けるべきではないかとも思うし。人殺しに人生やり直すチャンスがあって、避妊をしなかった・忘れた阿呆に人生やり直す権利がないというのはおかしいのでは(「出来ちゃったら堕ろせばいいし」というのは論外として)。

引用先の訳文を読むと、この人は部分分娩中絶手術が悪魔の所業であるので中止させたいようなのだけれど(中絶そのものに反対かどうかは不明 : そこまで読む気力が起きない)、

中絶

この貴重な歴史的報道写真のせいで妊婦の要求による中絶がしにくくなるのを恐れたフォックスの幹部たちは、写真と記事の公表を妨害しました。数多くの勇敢なアメリカ国民が命を懸けて報道と言論の自由を求めて戦ったというのに、このような写真と記事を伏せておくことは悲劇です。しかし彼らは聖母マリアのお姿に象の糞を塗りつけたり、膣や肛門の写真を合成したものなら放映して、それが憲法で保護さる自由である、と主張するのです。

こういう物言いしたって誰も耳貸さないのは当然のことでは。皮肉とか揶揄ならもっと上品にスマートにやればいいのに、とか、相手を口汚く罵るだけじゃ何もならないのに、とか。話し合いは冷静に行わなければ最上の効果は得られませんよ、と。

長くなったなぁ。

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