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医療ミスの判決文

全文読むと判決がどうかと思えてくるんですが。

看護師1人の責任でない 物品管理体制こそ問題

判決などによると、女性看護師(27)は00年2月28日、女性患者(当時17)の人工呼吸器の加湿器に滅菌精製水を補充しなければいけないのに、容器を誤って消毒用エタノールを注入した。女性患者は翌月2日に急性エタノール中毒などで死亡した。
判決文は、「看護師は基本的な注意義務を怠っており、被告の過失は、病院の管理監督体制の問題の有無にかかわらないものだ」として、看護師1人の怠慢な業務が事故の原因と断罪した。

とりあえずこれが判決文の部分で、以下追記。長い。

以下、判決文に対する東電研究員の河野氏の見解。

他の看護師も誤注入

これに対して河野氏は「事故は1人の注意義務違反で起きたものではなく、物品管理など院内のシステムに問題があった」と強調。「判決文には怒りを覚える。裁判所は見せしめに1人を罰すればよいと考えているが、システムを改善しなければ事故は減らない」と指摘した。

そもそも看護師一人の行動にしたって独断や軽率な動きがあるわけではないのだし、薬品投与時に確認を怠るのは、例えその看護師に決定的な原因(寝不足とか?)があったとしても医療従事者全体に責任があるのでは?
そうでなくてただこの一人が悪い、なんてことになってしまうのなら、別にチーム医療とかそういうものを導入する必要はほとんどないように思えますが。電子カルテなんかのシステムで処方が間違ってないことを確認したら、あとは投与係が投与して検査係が検査すりゃいいじゃんよ、と。薬剤の指差し確認とかあるでしょ、医療チームを形成することの医療ミス減少というメリットとか。そもそもこの人がミスを犯したときに他の人がどういう動きだったんですか、と読み進めていると以下のように。

形のよく似たポリタンクに保存

最も重要な点が物品管理体制だ。河野氏によると、同院では滅菌精製水とエタノールが形のよく似た白いポリタンクで保存されていた。以前、看護師長がこの2つが同様の容器に入っているので注意するよう看護師らに伝えたことがあったが、問題の看護師はそのとき、その場にいなかった。その看護師は、白いポリタンクに滅菌精製水以外の液体が入っているとは思いもよらなかった。

これって判決がどうよ?って話になると思うんですが。管理不行き届きで看護師長の責任問題とかいろいろ別の事柄へ飛び火しそうな。

何にせよ、「看護師1人の怠慢な業務が事故の原因」はありえない結論に思える。

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