ターセムが創り上げた誰も見たことの無い新世界に世界で最も美しい女性ジェニファー・ロペスが挑む!
そうなのですが、ジェニファー・ロペスって言うほど美人か?と、冒頭の十五分くらいで思った。いや美人は美人ですけど。世界で最も美しい
て。JARO に何とかしていただくことになりかねるとかなりかねないとか(多分普通に査定圏外)(治外法権)(違う)。
出演俳優はなかなかよい演技であったし、肝心要の精神世界のデザインやスターガーのキチガイっぷりもそれなりに良いのであるけれど、どうにも微妙にダメな部分が気になって仕方がなかった。精神世界はいいのに現実部分でのコスチューム(筋肉みたいなデザインのやつ)とか施設のデザインとかがダメダメとか、結局二つのストーリーがちょこっと接点を持っただけでノヴァックはジュリアの居場所がわかったらスターガーに一切関知しない放置っぷりだし、羊たちの沈黙とかセブンとか意識しすぎだし、期待していたソリッドシチュエーションなスリラーではないし(個人的なアレです)、ヤマ場の作り方がおかしいし、エドワードあまり重要度高くないし、伏線回収とかあまり意識していなさそうだし、みたいな。
ただ精神世界のデザインとかキチガイっぷりとか映像の繋げ方とかは独特で一見の価値があるので、ゴシックとかサイケデリックとかグロテスクとかに興味がある人は観た方がいいんじゃないかなーと思った。観終わった後に得るものは何もないけれど。
この映画の何が惜しいって、冷や冷やしないのである。ハラハラしないのである。ドキッとさせられることはあっても瞬間最大風速で、主人公の無謀さすら典型的な「お約束」なのである。次に何が与えられるのかわからない不条理さ、を自然に扱える世界観であるのに、限定的な状況という枠組み内で工夫する映画に比べてさえ見劣りしてしまうのである。