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2006年02月24日

ザ・セル

ターセムが創り上げた誰も見たことの無い新世界に世界で最も美しい女性ジェニファー・ロペスが挑む!そうなのですが、ジェニファー・ロペスって言うほど美人か?と、冒頭の十五分くらいで思った。いや美人は美人ですけど。世界で最も美しいて。JARO に何とかしていただくことになりかねるとかなりかねないとか(多分普通に査定圏外)(治外法権)(違う)。

出演俳優はなかなかよい演技であったし、肝心要の精神世界のデザインやスターガーのキチガイっぷりもそれなりに良いのであるけれど、どうにも微妙にダメな部分が気になって仕方がなかった。精神世界はいいのに現実部分でのコスチューム(筋肉みたいなデザインのやつ)とか施設のデザインとかがダメダメとか、結局二つのストーリーがちょこっと接点を持っただけでノヴァックはジュリアの居場所がわかったらスターガーに一切関知しない放置っぷりだし、羊たちの沈黙とかセブンとか意識しすぎだし、期待していたソリッドシチュエーションなスリラーではないし(個人的なアレです)、ヤマ場の作り方がおかしいし、エドワードあまり重要度高くないし、伏線回収とかあまり意識していなさそうだし、みたいな。

ただ精神世界のデザインとかキチガイっぷりとか映像の繋げ方とかは独特で一見の価値があるので、ゴシックとかサイケデリックとかグロテスクとかに興味がある人は観た方がいいんじゃないかなーと思った。観終わった後に得るものは何もないけれど。

この映画の何が惜しいって、冷や冷やしないのである。ハラハラしないのである。ドキッとさせられることはあっても瞬間最大風速で、主人公の無謀さすら典型的な「お約束」なのである。次に何が与えられるのかわからない不条理さ、を自然に扱える世界観であるのに、限定的な状況という枠組み内で工夫する映画に比べてさえ見劣りしてしまうのである。

21g

映画史上最も覚えにくい名前ということで有名な、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。僕個人としてはゴンザレスでなくゴンサレスであるところが気になって仕方がありません。発音上濁る方がどうみたって合理的だからです。ここまで嘘。

時間軸も視点もごちゃごちゃとしているので入り込むまでは多少時間を要するものの、一度スイッチが入ってしまえばかなり深く入り込める。手法としては個性的で独創的であるし(メメント ほど理路整然としていなくて、本当にぶつ切りのものを計算なしに並べたような印象すらある)、映像美や構成の上手さもかなりのものであるので、そういった芸術的なアレが好みの人にとっても楽しめるのではないでしょうか、みたいな。

久し振りにとても良い映画を観たので(しかも AVP とかいうダメ映画の後に)(いやあの映画も嫌いじゃないよ?)(ただ、どうしようもなくダメだっていう、そこだけは譲れないんだ……)、特に何も書くことがない。浮かばない。観ろ。観なさい。

2006年02月13日

彎曲人間率直化計画

夜中にふと目を覚ます。

僕は物心ついたときから独りでいる時間がとても好きで、というかそれが自然体であって、好きとか嫌いとかではないのだけれど(好んでそうするのか、と問われると違うような気がするが、そうでないことが長いこと続くのは苦痛に感じることもある)、それでも定期的に誰かと接点を持たなければ何がしかの理由で破綻してしまうんだろうな、などと思ったりする。既に破綻していなければ、という条件付きではあるけれど。独りで食べる夕食が決してダメなものだとは思っていないけれど、誰かとあるいは大勢と食べる夕食というのは、別の栄養を摂取しているように感じることもできる。その程度には感受性を保っている。

何が言いたいかと言えば、要するに一緒に夕食を食べるような間柄の人が物凄い少ないということであるのだけれど、ともだち ずっとともだち ずっとともだちいないというか、友達いない、友達驚くほどいない、死にたくなる事実だが友達驚くほどいない、という三段活用というかますますわけがわからないけれども、要するにそういうことである。誰かに何かを相談されることは多々あったけれど、誰かに何か相談するようなことがほとんどなく、「夕飯おごるからちょっと話に付き合ってくれ」なんて気の利いた台詞のひとつも言えないのである。別に相談しなければならないことを常に抱えているわけでもないからいいのだけれども。ついでに言えば一緒に買い物に行くような間柄の人もいないのである。インターネットやら mixi やら orkut やらで友人が増えたといえば増えたけれど、そんなものはまやかしに過ぎないのだ!電脳空間の仮想商取引なのだ!と微塵も思っていなくて、結局のところ文化的な土台をほとんど共有しない人とはやはり共通認識を持つことが難しく、長い時間あるいは深い関係構築をもってせねば友人と呼べるほどの間柄にまでは発展しないのであり、僕の好きな「独りの時間」と「インターネットにおける活動」という二つの事項は驚くほどに相反しないのである。それどころか、悲惨なまでに融和してしまうのだ。

「独りの時間」にはこのような独白も含まれる。不特定多数の人間に向けた文章の何が独白か、と思われる方もなくはなかろうけれども、不特定で多数な彼らのほとんどは、僕に対して何か働きかけることなどしないのだ(しかし果たして、コメント欄が僕の人生観を変え得るだろうか?)。増してやこのような CMS など使ってしまえば、ぎりぎりのぎりぎりまでこの文章が破棄されない保障などないのだ。そのような、誰かに向けられるかもわからない、誰かが受け取ったかもわからない、そんな文章にどうして人と人とのつながりを期待できようか。

というようなことを、夜中にふと覚めて思う。明日も仕事。に行きたくない。かなりのレベルで行きたくない。仕事に行かないことを仕事にしたい。あああああ。

mixi の ダメ偉人 コミュニティ(偉人の写真に吹き出しをつけて情けない台詞を吐かせるというあまりに自堕落な娯楽を僕が楽しむコミュニティ)の 芥川トピック芥川龍之介 コミュニティ(老若男女芥川ファンが集う会合)に 投下した ら物凄く晴れやかな気分になった。よーし、今日はねず勉だァー!と マサルさん が言っていたことを思い出したけれどどうでもいいよ。

2006年02月09日

エイリアン VS プレデター

中古 DVD を購入したので、今観た。少なからず期待していたことを否定しては嘘になる。元のプレデター宇宙船内にエイリアンの頭蓋骨があったときから(ただの制作者側の遊び心だったのだろうけれど)ある意味約束されていたような企画であったし、組み合わせとしてはとても面白いものだからだ。ただ、監督が圧倒的に良くなかった。制作前に「俺この映画チョー好きなんだよ俺に監督やらせろよ」みたいなことを言いながら脚本を手がけたという噂を聞いたので絶対に劇場へは行くまい、とは思っていたものの、同じくらいの値段を出して DVD 買ってれば世話はないわけで、やはりというか物凄い駄作で、新しい自転車を購入したうきうき気分など吹き飛ぶほどにがっかりしている。

もうね、最初から突っ込みどころが多すぎる。なんでクライミング中に平然と通話するのか。なぜ目の前にヘリコプターが着地するらしきことにも気付かないのか。ひたすら「絵になる」シーンを撮ろうと頑張ってる(だけ)、っていうのがみえみえで物凄いがっかりする。ビショップ(ランス・ヘンリクセン)が出てきたのは物凄い良かった。あと衛星とパラボラアンテナの CG もまあ良かった。プレデターの宇宙船デザインは全くイケてない。有機的なデザイン要素ゼロか。がっかりだ。ペプシボトルキャップの伏線はオイシイはずなのに全く使えない。意味がない。エイリアンが都合よい場所に出て来すぎ。気配なさすぎ。元のやつ(リプリーが出てる方)ではちゃんと筋道立てて「ここの道を塞げばここに出てくるから……」とか戦略立ててるのに、これだけ神出鬼没じゃダメすぎる。あと人死にすぎ。いや死ぬのはいいんだけど、死に方がダメすぎ。これじゃパニックでもホラーでもなくてただのヒーロー物だ(実際そうなんだろうけど)。出し惜しみしなさすぎ。広報の時点でネタが割れてるっていうのもあるんだろうけども、最初っから姿見せすぎ。カッコいい絵にこだわりすぎ。ホラーの美学(じわじわくるタイプの)全くなし。プレデター出てくるまで退屈すぎ。出てきても弱すぎ。あとフェイスハガー寄生 → 幼生誕生のスパンが短すぎ。幼生から成長するのも早すぎ。クイーンあっさり巣を捨てるな。なんで同じソリにプレデターと人間が並んでつかまってるんですかかっこわらい。なんで最終的に分かり合えたみたいになってるんですか。海上に不時着したら三分で死ぬとか言っときながらラストめちゃくちゃ薄着ですね。あと独り氷上に取り残されたところでどうするんですか。ラストもバレバレだしあまり意味はない(だって人間関係ないもの)。やっつけました、めでたしめでたしって香港映画ですかジャッキー・チェンですかそうですか。

みたいなことを悶々と思っていて、やっぱりポールみたいな軟弱野郎はバイオハザードみたいにバカ売れしたゲームの映画化、みたいな土壌がないとダメだと思ったけれどエイリアンもプレデターもバカ売れしているし、アーケードゲームでエイリアン VS プレデターってあったような気がするのでまたがっかりする僕でした。本当価値ないよこの映画。金をかけた二次創作だ。ビショップ(ランス・ヘンリクセン)だけは良かった。

あと思い出したからついでに書いておくけれども、特典映像とかメニューとかがクソすぎる。軟弱監督とランスと主演のナントカいう人が解説をしているだの何だのいう映像があったので観てみたら、普通に本編にかぶせて何やかんやしゃべっているだけだった。もう一回観ろってのか。面白いならともかく。あと他にも解説があったけれど多分これも同じ。あと「もう一つのオープニング」みたいなのがあってこれは絵的に良かったのだけれど、その後普通にシームレスに本編開始したのでまたビビった。何回観ろってんだ。

あと 20th Fox の予告編集、みたいな項目があって、AVP のテレビコマーシャル集かと思ったら全然関係ない映画の宣伝でびっくりした。隣に 20th Fox 最新情報みたいな項目があってかぶってるんじゃないかと思ったけれど面倒なので中身は確認しないことにした。

本当に価値のない円盤に金を出してしまった。しかも今ベストなんたら盤が出ているようで、そっち買った方が中古で買うより安かった……死にたい。いっそ死にたい。

一緒に 21g の DVD も買ってあるので、そちらは面白いことを期待。

さよならエロチャリ

確か昨年の一月に購入して乗っていたエロチャリこと Erotic Design Works の街乗り折り畳み自転車であるけれども(会社は倒産?ネット上のリソースは全部消滅)、これがまた多難というか不幸な一台で、購入してから持ち帰るためにトランクに入れる時点で反射鏡は折れるわ(一緒に運んだ店員に物凄い謝られた)、購入して一ヶ月で側面から追突されてチェーンのカバーが割れるわ(でも変速ギアの調子は良くなった)、つい最近などは病院の敷地内に停めたところ救急車に轢かれて後輪泥除けがひしゃげるわで、もうそれは満身創痍なのであった。かろうじて生存なのであった。そのエロチャリの後輪が今朝方逝去されており、三人に現状説明を兼ねたメールを送ってみたところ三人とも「新車を買え」とのことであったので、買いました。

実際にはダークグリーンなのだけれど(先日買った吉田カバンもなぜかグリーンだった)(別に緑が好きなわけではないというか、今までの人生において緑ほど重要度の低かった色はない)(過言)、街乗りサブカル自転車少年からパリジャンに変化したかのような心境です。運転中、前傾姿勢の「ぜ」の字もない。優雅。もう急ぐ気とか全くなくなる。だから約束の時間に遅刻したとしたって、それは僕のせいでなくサンタモニカのせいなのです。だから怒らないでください。ていうか誰か約束してください。友達になってください。

あと家に着いて保証書見るまでずっとモンテカルロだと思っていた。ついさっきはサンタマリアだと勘違いしていた。困った名前だ全く。