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不安の種

中山昌亮 氏の「不安の種」一・ニ巻を古本屋で買う。久し振りにかなりの大ヒットだったのでつい駄文などを乗せてみる(まぁ この間 買った田中圭一もヒットといえばヒットなのだけれど)(閾値が低いといえばそういうことです)。

とりあえず、まず言えることは、「呪怨は怖いけれどもう一回くらいは観たい」「リングは日本版もハリウッドリメイク版も欠かさず観ている」「貴志祐介の 黒い家 は原作小説を楽しく読んだ」「ジェイソンよりもフレディの方が好き」「ハンニバル・レクターは小奇麗過ぎるので恐怖感の対象というより尊敬の対象である」というような意見をお持ちの方には問答無用でお勧めであるよ、と。あるいは HR.Giger や Beksinski のイラストに心奪われたことのある人には雰囲気がお勧めであるよ、と。厳密には多分 Beksinski とは全然毛色が違うものなのだけれど、どことなく異様さ(異質さ)を感じるイラストに魅力を感じるのであれば楽しめるのではないだろうか。とりあえず 表紙 は見るべき。

中身は超短編のホラーコミックで、四頁かそこらで終わるようなものばかりなのだけれど、タイトルでもある「不安の種」を捲くことが方法であり手段である、というまたわかりやすい漫画。落ちも教訓も何もない。投げっぱなし。投げっぱなしスープレックス。とにかく不安を煽る絵、不安を煽るシチュエーション、行動、動き、容姿、異質さ、全部ごった煮にして一つの物語形式でオムニバス、という。そして、クオリティが物凄く高い。絵柄は実に無難で(背景はきっちり上手、人物は特に癖もなく受け入れやすい絵柄)、荒れもムラも少ない安定したものなのだけれど、だからこそ「不安の種」とのギャップが浮き彫りになっていて面白い。というか怖い。気持ち悪い。本当に不安になる。

一巻・フタの章 では「学校」の計四話、「訪問者」の計五話、「道端の影」の「降る?」「道に棲まう」が特に素晴らしく、中学生高校生であれば「学校」の四つの話はどれも身近に感じかねないことであるだろうし、翌日学校に行った際にふと思い出して不安になるかも知れない。二巻・ぼーの章 では「公共の場で」の「暗黙の了解」「匂い」、「さそう者」の「かくれんぼ」「同意」、「自宅にて」の「ちらちら」「鈍感」、「出会ってしまった」の「接触」「海を見に行く」「飛ぶ人」、「気のせい?」の「ヒマつぶし」などがお勧め。ていうか自宅でこんなことあったら生活していけない。不安で。

少女漫画的なホラーコミック(和製ホラー映画のコミック化したやつとか)に食傷気味な方には特にご飯三杯くらいイケるんじゃないかと思われる一品です。お勧め。

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Last modified : 2006-05-12T18:57:37+09:00