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Internet Explorer から乗り換えるいくつかの理由

本日未明にでも Mozilla Firefox 1.0 正式版がリリースされるよ、ということらしいですが、知り合いに Internet Explorer から乗り換える文章を書きますよなんて約束をしてしまったので、ひとつその前口上でもどうだろう、という。

Internet Explorer を「特に何も考えず」使用することがあまり良くないことだというのは数ヶ月以上前から盛んにあちこちで言われているのだけれど、多分興味を持たなかった人にとっては全然耳新しいことであると思うので軽く概要を説明。

  1. IE の脆弱性を突くワーム(コンピュータウィルス)がかなりの大規模で蔓延して特定のサイトを攻撃させようとしたり個人情報を抜きまくったりした。また URI バー(アドレスが表示されるスペース)の偽装・ページ全体の偽装によって フィッシング詐欺 が横行した。
  2. ぐだぐだな現状に米国コンピューター緊急事態対応チーム US-CERTIEが使用する技術には「重大な脆弱性」が存在するため、IEユーザーは別のウェブブラウザーに乗り換えることを強く勧めるという内容の 警告 を発表。
  3. IE 開発・配布元の Microsoft が一念発起して「三億ドルかけて セキュリティ対策施した Windows 流通させたるわい」と XP SP2 を開発、配布を開始。CERTはSP2でセキュリティ機能の強化が図られた点を高く評価したものの、既存のアプリケーションが動かない事態が頻発した模様で、企業の半数は XP SP2 で業務の支障を懸念 とのニュースも。
  4. IE の時期バージョンは次期 Windows "Longhorn" に組み込まれる予定で、今後新しいスタンドアロンのIEは出さないと発表している。また先に述べた脆弱性(セキュリティホール、アドレスバー偽装、ページ偽装)を修正した IE を利用できるのはXPユーザーだけ、Windows 98/98 SE/Me/2000 ユーザーは依然 IE を利用する際には大きな危険が伴う。もしあなたが、旧バージョンのWindowsを使っている約2億人のユーザーの1人で、Internet Explorer(IE)に最新のセキュリティ機能を導入したいなら、クレジットカードを用意すべきだとのこと。
  5. パッチ未適用のWindowsシステム、「生存時間」は約20分
  6. 第2四半期、最も多かったハッカー攻撃はIEの脆弱性を利用したもの
  7. マイクロソフトはIEを消滅させるのか

IE の危ない点は、セキュリティホールの多さに加えて Windows のシステムとあまりに密着していること、インターネットユーザーの過半数が IE を利用しているため愉快犯的なワーム(ウィルス)製作者にとっては格好のターゲット層であること、もあるわけで(それに加えて反マイクロソフト派のコンピュータに詳しい過激派の人なんかがいるとかいないとか)(風説の流布になりそうなので敢えて語尾を濁す)。そんな感じの重大な問題点に加えて(使い続けることのデメリット)、些細ではあるけれども別のブラウザを使った方が幸せになれること(乗り換えることのメリット)もいくつかあるわけで。

例えば機能(操作性含む)がショボい、ということ。Opera でネイティブに実装され Mozilla/Mozilla Firefox で拡張機能により実装可能なマウスジェスチャー、あるいはタブ機能、ウェブログによって日本でも流行の兆しのある RSS、半透過 PNG への対応、CSS への対応……後半はウェブサイト制作者向きの機能であったりしますが、マウスジェスチャー・タブ・RSS は使い始めたら病みつきになる便利さ。

というような感じで「使い続けると危なげな点」と「乗り換えた方がよさげな点」があるため、乗り換えの手間を惜しいとは思わない人にはぜひ乗り換えてみていただきたいという。ということで知り合いに説明したことがこの文章の発端であって(スタートに戻る)。導入の手順だとかそういったことは以下のわかりやすいサイトを参照するといいと思います、と。

まだかな正式版。

著者の John Carroll 氏のことはよく知らないけれど、このような批判的なコラムが現れることは Mozilla/Mozilla Firefox コミュニティ、ユーザ、傍観者にとって利益を生み出せるチャンスであるのでとても良いように思える。問題点を浮き彫りにすることができるという点は、妄信的なユーザが集まってしまっては難しい側面があるからである。

とはいっても、この文書が有効で意味を持つものとは言い切れないように感じる。同意できる点は誤った安心感に浸ってはいけないFiref oxがIEの直面しているような脅威にさらされていない理由は、Firefoxが消費者の95%が使っているブラウザではないからの二つに絞られ(後者はそれだけが理由ではないけれど。現在、Mozilla/Mozilla Firefox が比較的セキュアなブラウザであることは間違いないだろうけれど、利用者の意識が根底から変わらなければ繰り返しになる可能性は大いにある)、その他の点はネタ的な意味合いがあるのかと思えるほどであった。氏はブラウザ固有の特殊な機能を押し通そうとするのは、私の趣味ではないと主張するが、テーブルレイアウトという特殊な用法を押し通すためにIEとの互換性をもっと考えるべきと訴えている、と思われても仕方のない文書である。オープンソース叩きが叩かれるのではなくて、時代に逆行した主張を正しいと信じ切っているから渋い顔をされるのである。楽な・安易な・容易な方法を選択し続けては、本来の目的や利便性というのは廃れ切って忘れ去られる夢物語になってしまう。

良く言えば、彼は現実的にウェブ制作者の側面に立ちコスト(費用・労力)対結果を考えることのできる人物だということだけれど。

とりあえず一人、IM 経由で Firefox に乗り換えさせてみた。拡張機能がどんな感じに便利か、なんてことは実践しながら体感しやすいのだろうけれど、Live Bookmark なんかの便利さはどう説明したら上手く伝わるか。無理に英語のドキュメント読めとか、ごく一般的な利用者に RSS の概念を理解しろっていうのも無茶な話だしなぁ。

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Last modified : 2006-05-12T18:57:39+09:00