404

Archive

アイ, ロボット

アイザック・アシモフの同名小説を原作に映画化されたのかと思いきやどうやらそうではないらしいという非常に紛らわしく傍迷惑で傲岸不遜な悪の権化たる映画で、その所業たるや魚面のロボットを大量出演させて思い切り破壊したり壁に打ち付けて破壊したり頭を撃ち抜いて破壊したり車で轢いて破壊したりともうとにかくロボットを破壊しまくる映画。破壊されまくるロボットは皆 CG だろうから同情の余地も「うわあ痛そう」といった感情も湧かず、この点に関しては「あれはロボットなんだよ」という共通認識をもってして映画内外を問わず広く共感を呼ぶことに完全に成功していると断言しても過言ではないように思われる。

というか別にそこまでわけのわからない映画ではないのだけれど、コアな SF ファンにはやっぱり物足りないだろうなぁという点はいくつかあって、例えばサニーが他の NS-5 よりも密度の高い合金を素材に使っているのであれば当然総重量およびボディバランスは著しく変化するわけで(まさかあの半透明の外装甲だけ別の金属ですよ、なんてことでもないだろうし)、だとしたら全く同じかむしろ上を行く運動性能でのアクションシーンはちょっと不可解では、とか。という、割と一般的な SF ファンにも浸透した技術的な限界などを物凄い勢いで投げ出しているのはやっぱりエンターテイメントだから、ということなのだろうけれど。立場と趣向を変えた "ターミネーター" かなぁ(ヴィキ = スカイネット、ってちょっと乱暴ですか)とも思ってしまったのは中身が使い古されたネタ・テーマを焼き直したものでしかないからか、とか思いました。あと普通にバイク乗るときはヘルメット被らないの?とか。あと登場人物の発言が短絡的過ぎて萎えるシーンとかありました。ロボットを "clockwork" と表現する発言があって字幕には「機械仕掛け」と表示されていたように記憶しているのだけれど、向こうの人は日常的にこういう使い方をするんだろうか。"Clockwork Orange" が機械仕掛けのオレンジだったらどうだろう。

絵的には気持ち悪い NS-5 の顔以外は結構まともで、ウィル・スミスの乗る Audi のデザインとかは最高でした。あとあれだけたくさん細長いのが出てくるのは "スターウォーズ エピソード I" の某シーン以来だなぁ、とか。つまり、それなりに楽しめる映画でした。

ふと気になって確認してみたらやはりというか。

clockwork というのは「時計仕掛け」でなく「ぜんまい仕掛け」が正しい和訳(概念?)で、clock という英単語から想像する時計よりもさらに小さい単位での仕組みによるものという感じのようです。でも like clockwork で時計仕掛けのようにとなるのはちょっとどうかと思う。like clockwork = clockwork のように、であるから「ぜんまい仕掛けのように」となるのが正しいというか筋の通ってる訳ではないんだろうか。とか、ごく一般的な辞書をもとにあれこれ展開するような話題でもないよ、と。

Post a comment

TrackBack

このエントリーへのトラックバック URI
http://www.junkwork.net/movabletype/mt-tb.cgi/20
「アイ、ロボット」の感想
  • I N T R O + UptoDate
  • 2005年02月11日 19:18
人妻フミの赤裸々ビデオ日誌に、「アイ、ロボット」の感想 を追加。 確かに平和利用なんですが、車酔いならぬロボット酔いしそうな利用方法です……。 アイ、ロボット ...

Powered by Movable Type 3.2-ja-2

Last modified : 2006-12-30T00:00:11+09:00