あまり日本映画を頻繁に観ることはないのだけれど、DVD レンタルが開始されたとのことで観る機会に恵まれたというか。
観終わっての率直な感想は、「脚本(原作)は上手いんだろうな」ということと「まるで良質な二時間ドラマみたいな位置付け」ということ。あと「日本の俳優って上手い人多いんだ」みたいな。登場人物が多い割にはそれぞれの思惑や立場が簡潔に描かれていて混乱することはないのだけれど、それが原因で、か、全編を通して平坦な印象だった。裁判のクライマックスではきっと涙する観客も多かったのだろうけれど、あの部分だけ検事と弁護士が職務を混同して同じ目的に向かうだとか、判事の越権行為だとか、検事の「ぎりぎり」と発言する場面(かろうじて、だろう普通)とか判事がより若い判事を「くん」付けで呼ぶだとか、リアリティが薄れている(ように思える)場面が多くて少しがっかりする。第一回公判の直後のシーンなんて一般人には目新しいものだったし、検事宅を訪ねる新聞記者とのやり取りも面白いのだから、もっとああいうシーンを掘り下げたら濃い映画になっていたんじゃないか、とか(キャストは十分に濃いけれど)。
命や白血病・アルツハイマー病をテーマにした映画にしてはあざとさが鼻につくことはなかった。という点では良質な映画だと思ったけれど、二時間ドラマの延長感は否めず。
どうでもいいけど、公式サイトの解説ページでキャスティングについて触れている文章に、樹木希林の名前が二回出ている。ちょっと笑える。
その姉康子に樹木希林、判事に「Dr.コトー診療所」の吉岡秀隆、さらに鶴田真由(新聞記者)・伊原剛志(検事)・國村隼(弁護士)、高島礼子、石橋蓮司、井川比佐志、樹木希林、奈良岡朋子らと、実力派キャストが揃う。
(名前部分強調はイソムラによる)
そういえば裁判クライマックスの回想シーンで梶がラーメン屋を訪れる場面、店内に夏目雅子のポスターが貼られているのが一瞬映し出されるけれど、あれは意図的にだろうか。